今日はB2B企業がマーケティング予算を何に投下すべきなのか、その優先順に触れてみたいと思います。
デマンドウォーターフォールは鉄板のフレームワーク
そもそもですがマーケティングという言葉が広義なので、まだマーケティング部門を有していない場合は営業として捉えていただいて問題ありません。
私は「デマンドウォーターフォール」というフレームワークを利用しています。マーケティングが語られる際、三角形のファネルの図が登場することが多いですが、そのファネルです。
私は営業全体プロセスにおけるボトルネックを見つける際、このデマンドウォーターフォールを応用して使っています。以下ファネルと言いますね。
マーケティング施策と施策実行リソースは有限
デジタル起点で考えた場合、企業が持つWebサイトを活性化してお問い合わせをいかに得るかというお話になると思います。
そして、SNSや広告、雑誌、メディア、展示会 こういったあらゆる施策のアイディアが出てくると思いますが、これらの施策を闇雲に行えるほどの潤沢な予算と人的リソースを有する企業はまれだと思います。
適切な顧客接点と課題を見極めて、自社が提供できる便益は何なのか。そして、大事なのは営業プロセスの全体を俯瞰した場合、どこにそのボトルネックがあり、それを取り除くことで水の流れを良くすることができるのかという視点です。
ファネルは下記のフェーズで見る
どの施策を優先的に実行すれば良いかが決まっていない場合は、まずはボトルネックを見つけることから始めます。
ファネルに営業プロセス全体の各フェーズの係数を当てはめ、どこにボトルネックが存在しているのかを把握します。
フェーズの4つ
- 認知集客フェーズ
- 名刺情報の獲得フェーズ
- 関係性維持・深耕フェーズ
- 既存顧客維持フェーズ
認知集客フェーズ
Webサイトに月間何人の方が訪問しているのかをGA4で確認します。貴社のWebサイトに訪問された方は、認知の深さの幅はありますが少なくとも貴社名やブランド、商品の情報に触れています。
最初のフェーズはこの人数を確認します。
名刺情報の獲得フェーズ
貴社は今までの営業行為によって得られた名刺(のデータ)を何名分保有しているでしょうか?
<この時点でのあるある課題>
- 各営業担当が名刺交換した名刺がデスクに入りっぱなし
- 各営業担当が私の、俺の客として抱えている
- データ化は行ったがエクセルやCSVだ
名刺は見込み顧客としての企業資産ですので、企業として一元管理する仕組みが必須です。まだこの一元管理が行えていない場合は、まずはそこから着手すべきです。
関係性維持・深耕フェーズ
営業さんは日頃の活動によって、月間何名の顧客と接点を持たれているでしょうか?人的な接点の場合、3人の営業がいて1日5件アポイント、月間営業日20日として300件です。
人的チャネルを利用した場合、このような値が上限になりますが、デジタルチャネルを活用すればまだまだその数は増やせるでしょう。
月間、何人の方との接点を維持しているのかを把握します。
ここまでは新規顧客開拓側の3つのフェーズです。既存顧客からのクロスセル・アップセルを考えた場合、4.の既存顧客維持フェーズがありますが、今回はこのフェーズは割愛します。
ここまでで、新規顧客開拓側の3つのフェーズについて触れてきました。
それぞれの値が準備できた状態で、3分割したファネルに値を当てはめてみましょう。
簡単に描くとこのような図ができあがると思います。
そして、認知集客→名刺数の率、名刺数→関係性維持の率を計算してみます。
たとえば、下記だったとします。
- 認知集客→名刺数 10%
- 名刺数→関係性維持 5%
この場合、名刺数→関係性維持にボトルネックがあることになります。営業プロセス上のボトルネックは、自社が抱えているハウスリストに対しての営業的アプローチが行えていない、休眠顧客が多数あるという状態です。
そしてその休眠顧客を掘り起こす事が出来るのか、出来ないのか、それも不明な状態です。
関係性維持・深耕フェーズはB2B企業にとって最も重要なフェーズ
顧客はいつ何時、貴社の商品に対して興味を持ち、検討を始めるか分かりません。いまデジタルでの情報収集時代ですので、営業を呼んで説明を。という旧来のシグナルは失われつつあります。
B2B購買の特徴として、「購買検討期間が長い」という点があります。
この長い期間、見込み顧客と中長期的に関係性を維持し、深耕していく事を常態化することが必須です。
ここにボトルネックがある場合は、簡単に考えても案件化になる率は低下するのは容易に想像できるのではないでしょうか。
ここのフェーズで用いられるのはマーケティングの定石ツールであるMAツールです。
簡単ではありますが、B2B企業がマーケティング施策をどのように優先順位付けし、限りあるリソースで全体最適に向かっていくべきかを簡単ではありますが書かせていただきました。